September 2010

藤村龍至「“超都市”からの建築家たち」

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“超都市”に生きる建築家たちの実践から都市の変容を考える

建築家、レム・コールハース氏の指摘を引用するまでもなく、現代都市は20世紀後半の経済のグローバル化、および社会の情報化の流れのなかでその構造を変容(mutations)させつつある。建築家、磯崎新氏はその変容を、かつて19世紀末から20世紀の初頭にかけて、近代化という社会構造の変化が都市(city)という枠組みを大都市(metropolis)へと転換させたのと同じように、グローバル化と情報化という20世紀末から21世紀の初頭にかけての大きな社会構造の変化が、大都市(metropolis)を超都市(Hyper Village)へと転換させつつあることを指摘する。

私たちTEAM ROUNDABOUTは、フリーペーパー『ROUNDABOUT JOURNAL』の創刊以来、阪神大震災とオウム真理教事件が起こり、windows95が発売され、「インターネット元年」と呼ばれた「1995年」を、物理的インフラの脆弱性が明らかになり、情報インフラの浸透が見え始めた時代の転換点として位置づけ、それ「以後」の建築や都市設計のあり方を討議し続けてきた。

1970年代生まれの建築家たちへのインタビュー集『1995年以後』(TEAM ROUNDABOUT編)では、同年以後に建築に取り組み始めた同世代の建築家たちに対して、情報化と郊外化を中心とした時代の転換をどう感じ、それが建築設計の実践においていかに影響を与えているか、幅広い問題提起が行われた。また、2009年7月にhiromiyoshiiにて開催された展覧会「生成の世代」、およびそれに続く2009年11月に大阪AD+A galleryにて開催された展覧会「ARCHITECTURE AFTER 1995」、および同時期に大阪工業技術専門学校にて開催された同名のシンポジウム・シリーズ等、2007年から2010年にかけて開催された数々のイベントにおいては、一貫して都市構造の転換とそれに伴う建築の変容が主題として、議論が続けられてきた。

私たちはここに、「1995年」の転換が、磯崎氏のいうグローバル化と情報化がもたらす新たな都市の枠組み「超都市 Hyper Village」の起点となりうると仮定する。今回hiromiyoshiiで開催されている展覧会「超都市からの建築家たち」では、これらの議論の延長上で、この世代の建築家たちを「超都市」において建築設計の実践を開始した建築家たちであると再定義することにしたい。彼らは多くの場合この枠組みに無自覚なまま、日々の建築設計を実践している。が、それゆえに時代の変化をその作品のうちに、鋭く現象させている。ここでは、彼らの作品のうち、特に都市の枠組みを強調したものを選択し、集合させることで、この新たな枠組みを可視化させようと考えた。

時代の転換期においては、批評の枠組みによってもたらされた新たな認識が、新しい時代の建築を逆照射させる。私たちは、その可能性に賭けている。本特集は、以上のような認識をもとに、一連の議論のさらなる発展を宣言するものである。

藤村龍至/TEAM ROUNDABOUT

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