#01 堂(寺院)

日本の寺院建築は、法興寺の建立に始まる飛鳥・奈良での仏教伽藍の建設から平安遷都に伴う天台、
真言密教の山岳伽藍、平安時代後半の天皇、貴族たちによる平安京での大伽藍建築、同時期の末法思想による阿弥陀堂の建立、鎌倉、室町武家政権に重用された禅宗の建築、鎌倉時代に次々と現れる浄土宗、浄土真宗、日蓮宗など新仏教建築の構成と変遷します。

この中で日本は大陸から新しい建築の「造り方」(構造)と「使い方」(機能)を取り入れ、それらを部分的に組み合わせて「見せ方」を変えてきました。これが寺院建築の様式として捉えられているもので、平安末の東大寺焼失に伴って中国から導入された建築様式を[大仏様(天竺様)]と呼び、それ以前の「造り方」を[和様]と呼びます。また、鎌倉時代の渡来僧によって完全な形が日本に伝えられた禅宗建築の[禅宗様]は、「造り方」「使い方」とも旧来とは違う、特徴の際立った様式です。中世以後の寺院建築は、この三様式を組み合わせ、主に「使い方」と「見せ方」に主眼を置きながら展開します。