May
2010
特集「アーカイブ2.0」
- Introduction
- 藤村龍至「今こそ、アーカイ...
- Cover Interview
- 槇文彦「開かれたアーカイヴ...
- Interview
- 南條史生「グローバルな視点...
- Text
- 保坂健二朗「アートから考え...
- Mail Dialogue
- 井関武彦「アーカイヴに支え...
- After talk
- 山崎泰寛「建築のアーカイヴ...
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南條史生「グローバルな視点から過去と未来を考える」(1/3)


南條文生 森美術館館長
槇氏の提唱するネットワーク型アーカイヴを構築するために、具体的にはどのような検討を行えばよいのだろうか。ここでは、森美術館でアートの現場を司りつつ、グローバルな文脈での動向にも詳しい同美術館館長の南條史生氏に、日本型アーカイヴの実現と円滑な運営の前提となる諸条件、海外での議論の動向などについて伺った。また同美術館では、1960年代の日本が生み出した国際的な建築運動「メタボリズム」についての展覧会が予定されているが、同運動のアーカイヴとしての側面をもつこの展覧会の狙いなどについても、伺うことにした。
聞き手=藤村龍至
文化装置としての建築資料のアーカイヴの可能性
藤村:日本の建築アーカイヴの現状について、南條さんはどのようにとらえてらっしゃいますか。
南條:僕は日本に模型を含めた建築資料のアーカイヴがあるべきだと思います。日本の現代文化を見たときに、インターナショナルなレベルでみて一番強いのは建築ですよ。例えば、MOMA(ニューヨーク近代美術館)の分館の設計は谷口吉生、ポンピドゥーセンター(フランス国立近代美術館)別館は坂茂、ルーブル美術館の別館はSANAA、というように、アメリカやヨーロッパの重要な文化施設の設計は日本人建築家が総なめにしている。日本人建築家が国際的に極めて高い評価を得ているにもかかわらず、日本という国はその人たちをバックアップし、歴史化していく体制ができていない。もしアーカイヴがあれば、それは今の日本の建築を説明し、プロモートするための重要な文化装置となるだろうと思うんです。
藤村:槙さんは、アーカイヴの理想的なかたちは各大学などに建築家が残したトータルなデータベースがあって、それに対して自由に開かれるという体制を作り、ちょうどGoogleで検索すると欲しい情報が引き出せるような仕組みをつくることが重要ではないかとおっしゃっていました。
南條:槇先生が仰っている、大学に分散させてアーカイヴを作り、ネットワークを構築するという考えは、すごく新しい考え方です。けれども、確かにそれぞれの大学に資料がアーカイヴされていても、それらよりも上位のシステム、あるいは共通のフォーマットを共有させる制度がないとリンクすることができません。そのためには建築アーカイヴを残す、という意志を持ったひとつの中心的な意思決定機関が必要じゃないかなという気がしています。 結局、誰がどういうふうに仕組みを作るのか、という問題は残ると思います。
藤村:研究論文などですと SCINii などのように研究者専用の情報データベースがありますが、そういうフォーマットを作るオーガニゼーションが必要だというお考えですか。
南條:そうですね。それは学会でもいいかもしれないし、大学連合でもいいのかもしれない。
藤村:こういったアーカイヴの議論になりますと、しばしば「誰の資料を保存するのか」という問題が出てきます。選ばれた作家だけでなく、ありとあらゆる建築物について設計資料が残っている、というデジタル化以後のアーカイブのイメージもあるかと思いますが、記録を「残す/残さない」という線引きにはどういうものが考えられるでしょうか。
南條:問題は物理的限界だと思うんですよね。しかし、もし科学技術がすごく発達して、すべてのことが記録できるようになったときにそのデータベースにはどういう意味があるのか。そこにはなんのエディタシップも働いていないわけですよね。そうすると、それを意味のあるものにするには自分で意味を紡ぎださないといけない。つまり全てがあるという考え方には、問題もあるのです。
藤村:情報処理技術をもとに氾濫したテキストのなかから知を構造化するというコンセプトについてしばしば議論されますが、あらゆるものを記録するという発想は、インターネット以後に強くなってきた発想ですね。
南條:そうです。それが可能な時代になりつつありますね。そうなるとタグのつけ方や検索方法が、建築についての深いコンセプトで作られていないといけないのでしょうね。全てをアーカイヴ化するということは、すごい発想ですよね。でも、そういう観点に立つと都市全体のイメージを定点観測的に残していうこともありだろうと僕は思いますけどね。
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