March 2010

徳山知永「ロジカルな世界を現実の内に描く」(2/2)

Bookmark and Share


重さも境界も単位もないロジックの世界から

藤村:今回の特集で杉本博司さんにお話を伺った際印象的だったのは、細部を表現するためには職人の身体感覚が必要である、というように、伝統的な技術を表現と身体をつなぐ「方法」のようなものとして用いていらっしゃることでした。
他方で徳山さんとコラボレーションされている石上純也さんはコンピュータの操作や表現という非物質的と思われている領域に「身体性」を感じていらっしゃるようにも見えますが、徳山さんは自分の作品にどのようなマテリアリティを感じていますか。

徳山:プログラマーとして思考している時は、重さも境界も単位もないロジックの世界に頭が行ってしまいがちです。そういった「リアリティの欠如した世界」観の片鱗を現実に持って来られるか、ということに興味があります。


re:shcematic #3
(C)Tomonaga Tokuyama
CADプログラムのソースコード


藤村:それは大変面白い問いですね。でも、具体的にはどういうイメージでしょう。

徳山:例えば「雷」とか「音」は、物の境界を色々と考えさせられると思うのですが。

藤村:なるほど。自然現象をそのように捉え直すのは面白そうですね。他方で、杉本さんは写真というメディアを手に、絵画や彫刻と言った伝統的なアートの領域に斬り込んで行かれたわけですが、徳山さんの戦略はどういうところにあるのでしょう。

徳山:伝統的に美術は「物」ありきですが、それは既に素晴らしいペインターや彫刻家の方々がいますので、僕がすべきは先にふれた様な触知できない世界観をどう「物」の世界に提案するかという、一見矛盾する様な行為かと思っています。


re:shcematic #4
(C)Tomonaga Tokuyama
石上純也「神奈川工科大学KAIT工房」の柱群


藤村:現在制作中の作品について、教えて頂けますか。

徳山:昨年から始めたテクニカル・ドローイングのシリーズ「re:schematic」と、先の世界観をテーマにした「f(    )」というインスタレーションを制作しています。特に後者は、協力して頂けるスペースやキュレーターの方を探しています。

藤村:今後、建築家とのコラボレーションでは、どのようなことをやってみたいですか。

徳山:これまで2つのCADソフトを作ってきましたが、CADソフトを作るソフトを作れたら面白いと思うのですが。


2010年1月から2月にかけてメールでの質問をもとに構成



(C)Tomonaga Tokuyama

徳山知永
東京都生まれ。京都大学農学部地域環境工学科卒業。FABRICA(イタリア)インタラクティブ・アート部門を経て現在、パリを拠点に活動。

代表作品として、石上純也「神奈川工科大学KAIT工房」のばらまかれたフラットバーの集合した平面の編集画面から抽出された「re:schematic #1」(fig.1)、隈研吾「ティファニー銀座」のバラバラの角度で取り付けられたガラス板の集合した立面の編集画面から抽出された「re:schematic #2」(fig.2)および、それらのソースコードを書き出した「re:schematic #3」(fig.3)などがあり、2009年夏に開催された「ARCHITECT 2.0」展にて展示された。
tomonagatokuyama.com

*1 ROUNDABOUT JOURNAL vol.1 所収 石上純也+徳山知永「自然な思考の流れを描くために」