July 2010

浅子佳英 「カオスvsニュートラルーー現代の『日本的表現』をめぐって」(1/3)

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「カオス*ラウンジ」(c)TetsuomiSukeda


第1信:松島>浅子

今回のメール対談では、近年において最も話題をさらった展覧会であり、今後の日本における重要なアートムーヴメントとなるであろう『カオス*ラウンジ』、そして『破滅*ラウンジ』における会場構成のお話からお窺いし、2001年に勃発したスーパーフラットから10年を経て「ニュートラル」と「カオス」の二極に分化した「日本的空間」の対比とハイブリッドの可能性について、思索を深めたいと思います。


はじめに、『カオス*ラウンジ』の会場構成の意図と、それを経て『破滅*ラウンジ』の会場構成で実践したことについてのお話をお聞かせいただけますでしょうか。
両者とも、事件性の高いコンセプトに呼応するようなエクストリームな物理空間を求められたと察します。前者はある種オーセンティックなギャラリー空間での展示、後者は地下のアジト的一室での展示、という条件の差異があるかと思いますが、『カオス*ラウンジ』で実践したこととそのリアクションが、『破滅*ラウンジ』でどのように影響したのでしょうか。





第1信(返信):浅子>松島


まず、条件の差異についてですが、高橋ギャラリーとナンズカアンダーグラウンドの印象は、ご質問とは全く逆でした。ナンズカは完全に真っ白で矩(カネ)がでた空間ですが、高橋ギャラリーは壁のスタッドは剥き出しで天井の躯体も黒く荒々しく、平面的にもまったく矩が出ていません。そしてもちろん、この条件はできる限り生かして設計したいと考えていました。

最初に『カオス*ラウンジ』について説明すると、『カオス*ラウンジ』は、梅沢さんを除くと全く無名の、通常はネット上で活躍する作家達による展覧会でした。しかもこともあろうか黒瀬さんは、ゼロ年代の作家たちよりも、彼らのほうがアツいんだということをぶち上げた。まあ、大きな賭けというか仕掛けをした訳です。

ただ『カオス*ラウンジ』の時点では、フォーマットがプリントアウトということにかなり縛られていました。しかもその大半は作品の違いに関係なく、一種類の大型プリンターで出力しています。
だから、ある程度単調に見えることは避けられないな、と思っていました。また、『カオス*ラウンジ』は複数ある一連の企画の第一弾でもあります。そのために通常の美術関係者にも、ツイッターやピクシブ等のネットをきっかけに展覧会にくる人にも、両方に楽しんでもらえるような展示にしたいとも思っていました。それこそ彼らからすれば、ネットではすでに作品を見ている訳だから、展覧会の空間自体が面白くなければ来る意味がありません。このような理由から、空間全体として、できる限りフラットにならないように演出的に構成しています。

そしてこの後すぐ、破滅に向かうのですが、まずはこの辺りで打ち返したいと思います。


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