February 2012

TNA 「建築的アプローチから場所性を考える」 1/2

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上州富岡駅コンペ最優秀案:駅舎内観 (c)TNA


都市部や都市郊外の個人住宅からキャリアをスタートし、別荘建築や集合住宅などでも独特の建築を発表してきたTNAが、上州富岡駅のコンペに勝利し、設計を進行させている。プロジェクトごとに固有の表現を掲げてきたかれらが、最近は海外のプロジェクトなども手がけているという。そこでここでは、TNAのおふたりがどのような思考によって場所の固有性を捉えようとしているのか、話を伺うこととした。
聞き手=藤村龍至


上州富岡駅:電車と街を近くする

藤村 駅には本来街の顔としての象徴性がありますが、モータリゼーションを経て、街の中心が郊外に移り、駅前商店街が寂れている状況のなかで駅を再生することは建築だけの問題ではなく、都市構造全体の問題となっています。「上州富岡駅」(2011-)の場合はどうでしょうか。

鍋島 上州富岡駅と有名な「富岡製糸場」は徒歩10分程ですが、車で来る方が断然多いのが現状で、駅から続く商店街よりも富岡製糸場のまわりの商店街のほうが元気な印象がありますね。

藤村 モータリゼーションは全国共通の減少なので、その現象そのものを否定しても意味が無いとはいえ、高校生やお年寄りのような交通弱者は、公共交通機関を使うほか手段がないという現実もあります。

武井 確かに駅というのは老人や高校生にとって日常的な存在として機能していると思う反面、縁側のように開放的な場所で「非日常的」な時間を過ごすことが、この街の固有の経験になると思っています。駅として最低限の機能がありながらも、駅を通して街から改札まで連続的に繋げることで、いままで見たことのない場所ができるのではないかと思います。

藤村 市民の日常的な営みと、観光客の非日常的な経験を、どのように繋げられるかということですね。

鍋島 そうです。縁側に座って障子とガラス戸を開け放したように、電車と街を近くしたいと思いました。例えば、電車を降りて街を見るために、架構を目線よりも高く架けようという意識はありましたね。


上州富岡駅コンペ最優秀案:駅舎外観 (c)TNA


地面から立ち上がってくる建築

藤村 駅そのものに立面がないということでしょうか。

武井 我々はそこに可能性があると思っています。立面を作らないと何も無い場所になってしまいますが、柱のブレースに煉瓦を集積させることで、人が建物に寄り添い、建物が人を集める状態を作れるのではないかと思います。今まで遠かった公共建築がより身近になるのではないかと考えています。

藤村 かつて菊竹さんが言っていたような、床が空間を切り取って柱がそこに場を与えるというような空間のイメージでしょうか。従来の公共建築などではRCの標準スパンで決められた空間に備品として購入されたスチールの家具がぽつぽつと置いてあるというようなイメージでした。

武井 仮設的なものと恒久的なものの境が「基礎」だとすると、地球にどのように接地するかが本質的な問題で、その接地のあり方に対してもう少しデリケートであるべきだと思っています。ここは駅という枠組みのなかで、待つ=座るという行為に対して建築がどう関われるかを考えたとき、地面から立ち上がってくる建築がこの街に根付くように思えました。

鍋島 家具で場を造るイメージですね。

武井 そうです。土木と建築の境をなくしたいと思っています。今回は幸いにも車止めまで設計させてもらえることになっているのですが、柱も車止めも同じように丁寧に扱いたいということですね。


廊の家(2008年) (c)TNA



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