April
2010
特集「都市空間とアート」
- Introduction
- 藤村龍至「都市空間の変容と...
- Cover Interview
- ダン・グラハム「都市空間の...
- Interview
- 泉太郎「コントロールできる...
- Text
- 木ノ下智恵子「芸術の拡張機...
- Mail Dialogue
- 黒瀬陽平「カオス*ラウンジ宣...
- After talk
- 山崎泰寛「さわれない語りの...
カテゴリー
藤村龍至「都市空間の変容とアートの可能性」

泉太郎「さわれないやまびこの眺め」
グローバリゼーション、情報化といった1990年代以後の社会的変化は、都市空間の構成を根本から変えつつある。その変化に、アートはいかに関わり続けているのか。本特集は変容しつつある「都市空間」の意味や役割を考察し、アートの可能性を探りたいと思う。
まず巻頭インタビューでは、ニューヨークを中心に活動し、美術館のみならず公園や広場等の都市空間に数多くの作品を設置しているダン・グラハム氏に話を伺った。都市空間に作品が多いだけでなく、ニューヨーク郊外のニュージャージーの出身である氏は、自らの作品を「都心と郊外を結びつけるもの」として定義するなど都市的な視点で位置づける。また、近年のニューヨークの都市空間に起こりつつある現象として、企業の建物が公園に変わる事例を挙げ、都市空間に景観設計の概念が戻りつつあると指摘する。グローバル経済とともに激しく変動するニューヨークをベースとする氏ならではの視点である。
ビデオというメディアを用いてユニークな作品を発表している泉太郎氏は、実際に都市空間に出て、インタビューを介して作品制作のプロセスに他者を巻き込む。氏は、「自由になりそうでならないこと」「コントロールできそうでできないこと」に興味があると語る。その問題意識は、メディアや技術の層が拡大した90年代以後のアーキテクチャーの時代ならでの制約条件と作家の関係を示唆するものであり、そうした巨大な制約条件の束としての都市空間は、むしろ活き活きとしたコミュニケーションのフィールドとして捉えられているようにみえる。
そして、神戸アートヴィレッジをベースに活動を展開し、大阪の造船工場跡地で開催される「名村アートミーティング」のプロデュースを手がけるなど実際に都市空間を舞台にしたアートを仕掛け、本年の「六本木クロッシング2010展」のキュレーションも務める木ノ下智恵子氏は、芸術の機能拡張と、それによる既成概念の更新を唱える。氏は子供の頃高架下で遊んだような自由さを例に挙げ、都市空間を既成概念、特に資本の権力に対してオルタナティブな動きを表現する場として捉えようとする。
メール対談では、アーティストとして活動する傍ら、活発な発言で批評家としても頭角を現しつつある黒瀬陽平氏を迎えることにした。黒瀬氏はコマーシャル・アートも、コミュニティ・アートもWEBの時代にあっては批評性を失っていると指摘し、インターネットをベースに活動する作家たちとともに「カオス*ラウンジ」なる場を宣言する。アートにとって都市空間が人々とのコミュニケーションの場としての意味を持つならば、商業やコミュニティのみならず、WEBでの動きについても着目するべきであるとする氏の主張には説得力がある。氏の活動が本格化し、評価が定まるのはこれからかも知れないが、アートをめぐる興味深い動きの一端として最後にご紹介したい。
藤村龍至/TEAM ROUNDABOUT
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