July
2010
特集「『超』表層--表層と深層の関係から」
- Introduction
- 藤村龍至「10年ぶりに、『表層...
- Cover Interview
- 中村竜治「表層を見ないとわ...
- Interview
- 小山泰介「表面的で/断片的...
- After talk
- 山崎泰寛「『超』表層の深層...
カテゴリー
中村竜治「表層を見ないとわからないこと」(1/2)


とうもろこし畑 提供:中村竜治建築設計事務所
東京国立近代美術館で行われている展覧会「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」展で発表された「とうもろこし畑」は、足下に向かって少しずつ太さを増して行く繊細なエレメントのデザインと、レーザーカットされたジグザグ状の繊細な部材を丁寧に折り曲げた上で、それら同士を点付け接着させていくという膨大な作業量によって実現され、衝撃を与えた。ここでは、中村氏に、今回のインスタレーションに至るまでの思考のプロセスを振り返ってもらうことで、中村氏の空間概念やその背景となる問題意識を呼び起こしたい。
聞き手=藤村龍至
「とうもろこし畑」の反響
藤村:まずは「とうもろこし畑」のことからお伺いしたいと思います。いろいろな反響があったかと思いますが、中村さんとしてはどのような手応えを感じましたか。
中村:「綺麗」という反応と、「大変だったね」という反応がありました。抽象的なものを実体的に表すというのは僕の中では面白いと思っていたんですが、それを感じて頂けた気がします。形自体は誰でも思い浮かぶような形ですが、それを実際に作るということがどういうことなのか、何が起こっているのか、それを徹底しようとするとどういうことが起こってくるのか、見え方や形もそうですが、それを均質に作ろうとした時、下の方が太くなったり、そういうところが面白いなと思ってやっていたのですが、本当にそれを感じられるかが心配でした。
藤村:鑑賞者にとって、イメージを実物にするときの不均質さというのはパッと見ただけでは分からなさそうですね。気付く人は相当玄人ではないでしょうか。
中村:具体的にではないけれども、実体になった時の迫力をどこまで言葉にしているかどうかだと思います。
藤村:言葉にすると「作ってみると面白いな」という程度でも、意図は伝わるでしょうね。準備期間はどのくらいだったのでしょうか。
中村:設営自体は10日しか与えられていなくて、それでは足りなくて、会議室をお借りして1ヵ月程前から制作していました。
藤村:統制が大変ですね。
中村:朝は朝礼をやって、ちょっとした建設現場のようでしたね。
藤村:よく美術の人は、建築の人の一糸乱れず秩序だって行動できる様を「建築的」と表現されますね。そういう意味では美術の方は驚かれるのかなと。
中村:保坂さん(保坂健二朗:「建築はどこにあるの?」展キュレーター)もそこへは言及されていました。正確性や精度、設計通りに作るということに対して。「設計がある」ということ自体建築的ですよね。美術の人はあれを一人で設計図を描かずに作っていくようなかってなイメージがあります。
藤村:似たようなものを作ったとしてもペースは違うでしょうね。

とうもろこし畑製作風景 提供:中村竜治建築設計事務所
悩んだこと
藤村:他に気がつかれたことはありますか。
中村:大きさが心配でした。オブジェクトにならないような大きさにしなければと思っていました。サイズが小さいとオブジェクトになってしまうので、全体が把握出来ない大きさにしないと空間にならないと思っていました。その辺りも感じてくださる人とそうでない人がいましたね。
藤村:三角形の形状はすぐに決まったのでしょうか。
中村:だいぶ悩みましたね。柱がすごく強くて、展示壁も何もない状況になったときにすごく太い柱が6本ありました。その間の空間を与えられて、柱をどうするかということはすごく悩みました。結局「形が把握しづらい方がオブジェクトとして捉えづらい」ということになり、それで三角形にしました。
藤村:その他の反応はいかがでしょう。
中村:中に入れたらという議論もありましたけど、やめました。
藤村:その決め手は何かありましたか。
中村:建物の中にあるということが大きかったですね。建物の中にさらに屋根があるものを作ると自動的に擬似的なものになってしまう、そんな気がしていたので。
藤村:建物の中の経験として自然ではないということですか。
中村:天井と屋根の間に隙間ができると、そこは何なんだ、ということになってしまう。天井まで埋まっていてそこを刳り抜くのであれば、まだなんとなくわかるなという気はします。OZONEでやった布の展示の時はそういうイメージでした。そうは言っても中に入れた方が楽しいというのはあるので、そこは目を瞑って入れるようにする、という選択肢はあったかも知れません。
藤村:紙にしたのはどういう経緯なんですか。
中村:紙にするということは最初から決まっていました。外部であれば金属を選んだとは思いますが、内部で金属を使うとオーバースペックになってしまう。木という選択肢もありましたが、値段が高くやめました。

カラフル 提供:中村竜治建築設計事務所
藤村:微妙に線の太さが変わるところなど、気にする部分は「へちま」の時から変わっていませんね。今回の作品を経験して、思うことは何かありますか。
中村:「カラフル」(TURNER GALLERY「建築家の色とかたち」展で発表された作品)で色を扱って面白かったので、近美でもやれば良かったかなとは思いました。映像などではなく、実体として面に色がついているのだけれど、見え方としては違うようなことを今後も考えたいなと思いました。あと、今まで細いものでやってきたけれども、のっぺりとした単体の可能性というのもやってみたいかなと思っています。
藤村:マッシブなものをやってみたいのですか。
中村:そうですね。考え方としては表裏一体なのかなと。集合が作り出す形に興味があって、何か考える時に、物が集合した形を考えるのは当然なんだけれども、単体のことを考える時にも同じようにそういう思考が裏側にあるような気がしています。
1 2 次ページ
トラックバック
- この記事のトラックバックURL
- [アート]「建築はどこにあるの?」展(於:東京国立近代美術館)
- ●公式サイト:http://www.momat.go.jp/Honkan/where_is_architecture/ サブタイトルが「7つのインスタレーション」とあるように7人/グループがそれぞれ作品を展示しているのですが、 個人的には入場した途端に目に入る中村竜治氏の「とうもろこし畑」に魂を吸い寄せられ
- 投稿元 : mauのしっぽぽ図書館 / 2010年07月09日20:52