#02 社(神社)

神社の建築は古く、寺院建築が入る以前からあると考えられがちですが、最古の記録が残る伊勢神宮の正殿の形式[神明造]は7世紀後半の律令国家成立の頃、仏教に対する日本の神のための建築として採用されたものではないかと考えられています。伊勢神宮と対照的な出雲大社本殿の形式[大社造]も、地方神の代表として位置づけられた可能性が高いのです。

そして八世紀には、住吉、春日、加茂神社など、畿内の有力豪族が祭祀を行う神社各々独特な形の建築形式[住吉造、春日造、流造]が採用され、その中で最も簡単に作ることが出来、移動も容易な流造と春日造が全国的に広まります。地方も含めて、神を祀る社殿のおもだった形式は平安時代までには出揃い、それぞれの「使い方」に応じて儀式を行うための弊殿や拝殿が付設されます。続く鎌倉時代以後にはそれらを複合、変形した形式が創り出され、建築彫刻などの装飾的要素が加えられていきます。