February 2012

倉方俊輔 「関西・建築家のネクストステージ」

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「Another Point of View 住宅設計をめぐる異なる視座からの議論」というトークセッションが大阪市立大学生活科学部で行われたのは、2011年11月21日のことだ。作品について具体的に語り合う場を持ちたいという思いから、1970年代生まれの建築家4組が自主的に集まり、大学が場を提供した形になる。

初めに登壇者の4組と発表作品を挙げよう。発表順に、家成俊勝(dot architects)「No.00」(2011)、香川貴範(SPACESPACE)「地面と屋根上の家」(2010)、木村吉成・松本尚子(木村松本建築設計事務所)「4」(2011)、島田陽(タトアーキテクツ)「比叡平の住居」(2010)。個人的には4作品とも実見していたので興味深く、互いに批評に交換可能な形での多様性に、関西の建築家の次のステージが垣間見られた。

最初の挨拶を、竹原義二(大阪市立大学生活科学研究科教授)が行った。関西に根ざした住宅作家として著名である。軽妙なトークで、会場に詰めかけた学生や関西の若手建築家を沸かせる。このように作品よりも人間が前に出て、理論よりも体感が語られる風土に敬意を表しながらも、そこに新世代の関西建築家は何かを加えたいに違いない。


左:地面と屋根上の家(2010、設計:SPACESPACE)
右:No.00(2011、設計:dot architects)
撮影・提供:倉方俊輔氏


小池志保子(大阪市立大学生活科学研究科准教授)が全体の司会を行い、倉方がモデレータを務めた。大阪や京都や神戸など、それぞれの文化とまとまりを持っている関西に、新たな交流を生みだそうというこの日の目論見は、一定の成果を挙げたように感じられる。それも具体的な建築作品を通じて。

4つの住宅を各人が解説した後、後半部では順に他人の作品を評し、質問を投げかける形でディスカションが進行した。大上段なまとめではなく、共鳴するように、理解が進む。それは登壇者相互についてもそうだっただろうし、会場の学生や建築家にとっても同様だと思う。


左:比叡平の住居(2010、設計:タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所)
右:4(2011、設計:木村松本建築設計事務所)
撮影・提供:倉方俊輔氏


「東京」のように、単純に整理しないで、つまり建築に対して社会や思想や、何か外来のテーマを持ち込んだりしないで語り続けていくこともまた、可能な「関西性」ではないだろうか。手を動かしているだけも良いし、時に奇人変人自慢に至る人物評も良いけれど、むしろ、そうした体感的、属人的性格は消し去りきれない地域性なのだから、適度に薄めれば、よい議論の土壌になりそうだ。

発言は、その内容以上に、対象の属性の何をあえて語り、何を語っていないかということが、思想を表明してしまう。そうした発言者の背景も含めた深い理解に、この地は適している。そうした理解は、他人を真似する方向に働くのではなく、自分に何ができ、何をすべきかという態度を決定するための教養となる。そんな大人の議論が、次世代の関西の建築家の拡がりをさらに涵養していくだろう。4者4様の住宅が提示され、共鳴していく様は、そんなことを感じさせた。


倉方 俊輔 Shunsuke Kurakata
1971年東京都生まれ。建築史家。博士(工学)。現在、大阪市立大学大学院工学研究科准教授
学位論文では伊東忠太の思想と設計活動について論じ、吉阪隆正に関する単著を執筆後、戦後建築や、より新しい現代建築にも関心を深めることに。
著書に『ドコノモン』、『吉阪隆正とル・コルビュジエ』。共著に『建築家の読書術』、『東京建築ガイドマップ』、『吉阪隆正の迷宮』、『伊東忠太を知っていますか』ほか


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