日本建築片々

若い人達と日本の建築の話をし、共に見学に行くうちに、その中の何人かから、日本建築の保存や修復のために何かをしたい、そのために、日本建築についての、独り言のような私の話を他の人たちにも伝えたいので、サイトを作りたいという申し出がありました・・・。いまさら稚拙な独り言を文字にしても、屋下に屋を架すようなものだとも思いましたが、日本建築についての数えきれない情報の中で、わずかでも日本建築の本当の魅力を伝えることができ、共感し、楽しんで貰えるなら、そして、それが少しでも優れた日本建築の延命に役立つなら、それも無駄ではないかと思いなおしました。ただ、サイトの内容は日本建築の歴史と意匠(デザイン)にはしますが、日々片々、身の回りに起こった日本建築にまつわる出来事を中心にしてもらうこと。編集は若い人達に行なってもらい、更新は徒然に不定期で行うことをお願いしました。とはいうものの、はじめて日本建築についての文章を読む人たちに、わかりやすく伝えるためには、とりあえず建物の種類だけでも分けて載せた方が良いかと思いました。分類についていろいろ考えてみましたが、結局は木割書『匠明(しょうめい)』にある「堂」「社」「殿屋」「門」「塔」に分けて建物を説明するのが最もわかりやすいという結論に至りました。「木割書(きわりしょ)」とは、建物の作り方を書いた本で、昔は職人たちを率いる棟梁のみに伝えられた秘伝書で、『匠明』は奥書に慶長13年(1608)とある日本で最も古い木割書です。その中での、「堂」=寺院建築、「社」=神社建築、「殿屋」=住宅建築、「門」=出入口、「塔」の五つの分類は、古いですが最も簡単かつ明確に日本建築の種類を表現しているように思います。ただ、日本の塔は中国の塔とは違って普通、上層には上れませので、現代でいえばさしずめシンボル、モニュメント(象徴)に当たりますから、このサイトでは象徴的な建物の分類としましょう。

2014年3月15日記