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藤井 亮介

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坂倉建築研究所の藤井亮介です。
今回初めてのエントリーなのですが、このブログでの目的を語るために、
まずは3つのレビューから始めたいと思います。

一つ目は故・坂倉準三がかつてシャルロット・ペリアンと共に企画した
『選択・伝統・創造』展(1941年)という展覧会について。

この展覧会は
「現在、世の中にあるものの中で特に優れたものを選択し、
かつて培われた伝統の一部となるように、新しいものを創造しよう」
という主旨のもとに行われ、その後のデザインムーブメントの火付け役にもなったものです。
展覧会の意義や波及効果についてはいろいろ語られるところがあるのですが、
僕は重要な事柄のひとつに、タイトルを
『伝統・選択・創造(=過去・現在・未来)』ではなく
『選択・伝統・創造(=現在・過去・未来)』とした事が挙げられるんじゃないかと思っています。
つまり伝統から創造までをひとつのリニアな道筋で示すのではなく、
「現代の中での選択が先にあり、それを伝統とつなげることによって創造が生まれる」
という多方向的な生成を誘導した、という点。
坂倉は、あくまで選択された現代と伝統は同一平面にあり、
それらを衝突させることが重要だと捉えたのではないでしょうか。
ひとつの線を描くのではなく、複数の線が交錯する場を用意するという手法は、
新宿西口駅に代表される建築のみならず、
展覧会の企画や世界デザイン会議などファシリテーターとしても活動していた
彼の建築観そのものが表れていたように思われます。


二つ目は東京都現代美術館で行われている
『ラグジュアリー:ファッションの欲望』展についてです。

特に服飾表現において顕著に表れるラグジュアリーという概念を、
社会との距離の中で捉えるという主旨の展示だったのですが、
技術の進歩や新素材の発見といった服飾の歴史(=時間軸)や、
地理的条件や文化圏に違いによる捉え方の差異(=空間軸)という枠組みから捉えるのではなく、
新旧の服たちが同一平面状に並べられているという会場構成が印象的でした。
会場の空間そのものはけっしてラグジュアリーな雰囲気をかもすものではないのですが、
群島的な配置やマネキンの微妙な差異が地形となり 、
ラグジュアリーな服たちと日常との距離感を測るのに適度な空気を保っていたように思います。
またそのような微地形的な平面によって、異なる服たちをつなぐ線やまとまりが、
セッションを越えてつながっているようにも感じました。


三つ目は2007年に伊庭野大輔と共同で代官山インスタレーションに出展させていただいた作品
『How Slow the Wind』について。

この作品は代官山アドレスタワーのふもとの広場に巨大な矢印を散在させたもので、
それぞれの矢印は風によって向きが変化するような仕組みになっています。
また矢印の大きさは人間の背丈ほどとし、
9つの矢印を9×9マスのグリッドの中で縦軸・横軸に重ならないように配置しました。
このような設定によって身体と記号がシンクロし、
矢印が持つ関係性のフィールドが都市に拡張できたように思います。



さて、僕がここでブログを始めるにあたり、
これから建築やアートの作品・展覧会のレビューを書くことになるのですが、
作品・展覧会そのものに対する評論だけではなく、
そこから外に広がる世界に対してもいくつか楔を打ちたいと考えています。
簡単に言えば「できるだけ複数のレビューを並列して書く」ということなのですが、
この手法によって各レビューがひとつの独立した単点ではなく、
いくつかの点とそれをまとめる線として、
つまりは星座的にレビューを書けるのではないかと思います。

今回はこのブログの目的を語るために3つの展覧会を挙げ、
横断的にレビューをさせていただきました。

まずはこのエントリーを、次なるレビューを生成する場として定義したいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

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