プロフィール

木内俊克

カレンダー

2012/05

4月 < > 6月

S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のエントリー

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ヒット数

  • 本日: 27 hits
  • 累計: 1944 hits
  • ※過去30日の累計を
    表示いたします。

RSS

rss1.0

rss2.0

Green Szew & Fez

Bookmark and Share
前回の書き込みから、まただいぶ時間が経ってしまいましたが、
2011年に入ってはじめての書き込みです。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、今回は発表していなかったR&Sie(n)の二つのコンペ案を紹介しながら、
最近考えていることなど、メモしてみたいと思います。

この二つのコンペ案は、それぞれ2009年、2010年に、
ポーランド歴史博物館(上)と、モロッコのフェズ地区内の再開発プロジェクト(下)の為に提案したものです。






"Green Szew" ポーランド歴史博物館コンペ案 ©R&Sie(n)






モロッコのフェズ地区内の再開発プロジェクト・コンペ案 ©R&Sie(n)


両者ともコンテクストはまったく異なるものの、共通したアプローチとして、
いかに既存のコンテクストが抱える問題を肯定的に読み替え、
新しいプログラムの核としてすえながら、一見相反する価値観を有機的に統合していくかに主眼を置いています。

これは一つのプロジェクトの中で対立する要素を、あえてぶつけ合い、そこから生じてくる突然変異的な部分を豊かさとして受け入れるという、R&Sie(n)の基本的なアプローチと軸を一つにするものですが、
 ―社会的なレベルで同様のアプローチを展開したという点
 ―都市や建築が生きている時間軸をパラメータとして取り込み、プロジェクトの軸として明確化できた点
で、これらのコンペ案は一つの成果だったと考えています。

ポーランド歴史博物館は、ワルシャワ市内の主要な緑地帯である丘陵を掘り下げ、緑地を分断して走る高速道路上にミュージアムを計画し、文化的なポテンシャルを高めながら、同時に分断されてしまった緑地帯の整備を行うことが主要な課題でした。
我々が第一に考えたことは、歴史博物館というプログラムに対し、高速道路を何事もなかったかのように隠蔽することは、歴史的な時間から継続して辿り着いているはずの近現代の時間だけを特別視し、歴史から除外してしまうことにつながるのではないか、ということでした。
(勝利案は、単純な人工地盤により高速道路を完全に地下化した上に博物館をのせたものでしたが)

結果、我々の提案の核になったのはミュージアムを高速道路の「傷跡」としてデザインする、という考え方でした。つまり、分断された緑地帯の整備、修復は行うが、そこに「傷」=高速道路があったという履歴は消去せずに、それが乗り越えられたという生々しい痕跡を空間の主役に据えよう、ということです。
このコンセプトを明確化するために、具体的にはいくつかの徹底した指針により、提案全体が構成されました。

1. 博物館の展示部分をなすヴォリュームを二つの群にわけ、高速道路の軸に沿って両岸に配置

2. その両岸のヴォリューム上から持ち出したスラブを、高速道路上で最低限のジョイントで連結、その上部をカフェその他の機能を包含したメインロビーとして用いる。

3. その際、ジョイント部(幅1~4m)は道路の軸線に沿ってリニアに連続したガラス床として仕上げ、博物館内から高速道路を見下ろす「ひび割れ」を、プロジェクト全体の中心軸として視覚化する。

4. 都市における博物館のあり方としては、分断された緑をつなぎ合わせる「ジッパー」として機能させるため、博物館を構成するヴォリューム群と周辺の樹木をハイドロポニックチューブで連結し、周辺の緑地と建物を連続/一体化した緑地として結びつける。

ここで重要なのは、高速道路を一つのイコンとして扱う以上に、周辺の緑地を引っ張り、結び付けようとする役割をもたされた建物と、それを分断しようとする暴力的な高速道路とのあいだのせめぎ合いの中にすべての空間が直接おかれているということで、建物内のどの場所にいても、そういった全体の動きを感じられるよう徹底してデザインを行いました。


少し長くなってきたので、フェズの再開発のプロジェクトについては、また後日、近いうちに書こうと思いますが、この辺りの考え方はまだまだ掘り下げられそうだと考えています。


みんなからのコメント

トラックバック

この記事のトラックバックURL