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02月 08日 07:10   /  FDmountwill_millsの日記
[社会] #LRAJ2010 Ust配信 PCの前でぶっ続けで見た

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指切り

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だんだんと魂と肉体の「出来る」がズレ始めているようで、
ここ最近怪我ばかりしている。


筋トレを始めようとして
腕立て、腹筋、背筋、スクワットを15回x3セットした翌日、
度を越した筋肉痛に慌てて病院に行くと
「交通事故レベルの筋組織破壊」と診断されて入院しかけたり。

電車に乗ろうと階段をかけ降りて踏み外し、
膝を点字ブロックのイボイボで強打したり。

挙句の果てには、久し振りに模型をしこしこ作っていたら
ペットシート(透明板材)の切り出しで思いっ切りカッターナイフを滑らせて
金尺を押さえていた左手人差し指の先を爪ごと真っ二つにしてしまった。




ギャー

僕の悲鳴で22時の事務所は騒然。
パーテーションを超えて、隣の、隣の、
そのまた隣のヤマモトさんの席まで血しぶきが飛ぶ始末。

クロカワさんに中指と一緒に包帯でぐるぐる巻きにして止血してもらい、
いつも冷静なヤダ設計室長に冷静な口調で
「急患なんですけど。」
と電話を掛けて病院をあてがってもらい、タクシーに飛び乗る。


指先は熱くてビリビリ痺れている。
ああ、模型作業今日中に終わらせたかったのに…と悩みながら病院到着。


出てきたお医者さんは僕より若い外科のお兄ちゃん。
「指先みたいな細かい作業は形成外科なんですけど…やってみましょう!」
と夜中の手術が始まる。

「色々痛いので」と局部麻酔を打ってもらって作業開始。
さすがに作業を眺める気にはなれず、天井を虚ろに眺める。
パキパキ音がするのは、どうやら爪を剥がしているかららしい。
血がドクドク出ていくのがわかる。気分がどんどん沈んでいく。

30分ほどで麻酔が切れてくる。
痛い。痛いっす。先生痛いです。
「もうちょっとで終わりますんで我慢してくださいね。」
はい、すみません。 あーもう殺してください。


そうして何とか手術終了。
爪の半分を剥がして、3針縫ったとのこと。



鎮痛剤だけもらって解放される。
先生どうもありがとう。


そこから3日間は地獄の痛みが続く。
切り傷よりも、爪の剥がれたところが超絶痛い。
深爪の面積が指先全部になって、それが24時間ジンジンしてる感じ。
それでも気合でスタディ模型は翌日完成させたのであった。


いやね、なんとなく僕は、体を刃物で刺されたくらいで死ぬなんて思ってなかったんですよ。
スッと入ってスッと出て行くならば、傷口閉じて頑張ればOKくらいの感覚で。
しかし実際はたかだか指先数cmを切った程度で心底ゲンナリ。
ドクドク言って出て行く血を見ると、本当に元気なくなります。
焼肉で滴る肉汁を見て元気が出るのと見事に真逆。
ここで必要なのは生きる意志だとわかっていても
人生を諦めてしまう気分への入り口を身を以って知ったのであった。


翌日別の病院の形成外科にて改めて傷口を見てもらったら
「綺麗に縫合してくれてますね。」
ということで、そのまま軟膏を塗り続けて一週間後に抜糸ということになる。
「指はとにかく回復能力が高いんですよ。
 傷は1週間あれば閉じますし、跡もなくなりやすいんです。」
とのこと。

一週間後は保護プレートとかさぶたが指に癒着していたため抜糸出来ず。
軟膏と消毒液で徐々に溶かしてそのまた一週間後にようやく抜糸完了。
この抜糸がまた泣けるほどに激痛。
だって爪を剥がした表面の糸を抜くんですよ。
糸を引っ張る先生に「いたたた、いた、いたい…」とついていき、
「ダメですよ、ついてきちゃあ」
と軽くコントをこなして何とか抜いたのであった。


+++

長い前振りだったが、そんなわけで指の存在感を意識せざるを得ない日々が続いている。
人差し指を使わない、人が差せない、物に当てない生活はとても難しい。
振る舞いが変わり、指先数cmの不具合で全身の動きが不自然になる。
この文面だって人差し指を使わずに打っているから、とにかく打ち間違いが多くて困っていりゅ。

そんな人差し指の別称を挙げてみると

医 学 : 第二指、示指
漢 語 : 食指
幼児語 : お母さん指
慣 用 : 塩嘗め指

とある。
ここを傷つけたということは、

・物事を示せない
・食指が動かない(やる気が起こらない)
・お母さんを傷つけた
・塩が嘗められない

ということだ。
まぁ、我ながら酷いもんである。


そしてこれは、小指じゃないにしろまさしく指切りだったわけで、
ゆびきりげんまんについて思わず調べてしまった。



指切拳万 嘘ついたら針千本呑ます 指切った



拳万とは、一万回殴るぞ、ということである。


指切りの起源は、遊女が「この人」と決めた男性へ不変の愛情を誓うために
小指を切って渡した「心中立」のひとつに由来する、とある。
それが「約束を必ず守る」ということのシンボルとなり、このような誓い立ての風習になったらしい。

永遠の愛を誓う心中立は

1.誓詞(血判)
2.放爪
3.断髪
4.入墨
5.切指
6.貫肉

の6種類。
不思議なことにこれらは各々、肉体を傷付ける手段の名称そのものである。
英語でも強く約束する際には

Cross my heart and hope to die, stick a needle in my eye.
死を願うことを誓います。そして自分の目に針を刺します。


と言うらしい。


このように人間とはとことん不思議な動物で、
愛の範疇では表現し切れない程の「ありあまる愛」の強さを示すために、
その対極の位置にある「耐え難い痛み」を以ってまでしてそれを表現しなければならないという、
どこまでもコンテクストマニアクスなド変態生物なのである。

文脈を最重視するあまり盲目的に言葉の筋道を追い、
あっという間に異常な世界へ全力で突っ込んでいく、
この複雑な生命活動が愛しくてたまらない。
命よりも何よりも、感情を説明する論理の方が圧倒的に大事なのだ。この動物は。
そして、論理的に不条理へ陥る、という戯れを延々と繰り返す。

歴史はそうして出来ている。






指切拳万 嘘ついたら針千本呑ます 指切った


一方で、この痛々しくて論理的なまじない言葉に付随する
「小指を絡めて上下に揺らす」というジェスチャーは
なんとも素直で美しいダイレクトなコミュニケーションの作法である。
これ以上なく愛を感じるしぐさだ。

小指を絡めるなんて、よくよく考えたら結構興奮する行為ではないか。
誰か指切りしようよ。僕と指切りしようよ。
軽い嘘でもいいから今日は一日はりつめた気持ちでいたい。
小指が僕にからんで 動きがとれなくなれば(以下略)


日本発のこのジェスチャーは世界中にも好まれて、
「pinky promise/swear」と言う名で約束をするときの人気の儀式になっているらしい。
小指の愛称はpinkyなんだな。


+++


誓いのなかの痛みは言葉が担い、愛は指が担う。


しかし今回まず指が痛みを担ったために、
僕はこれ以上ない愛の言葉を以って、誓いをスタートさせなければならない。
それが、このエントリ、という、わけ、なのでした。





複雑な動物を、永遠に愛することを誓います。

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