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「今社会の変化の中で我々は何を学び、社会とどう関わるのか」をテーマに、実際に社会的な活動をされている方へのインタビュー集

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07月 08日 20:12   /  フェラガモ 靴
フェラガモ 靴

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前田建設工業株式会社 綱川隆司氏インタビュー「BUILD LIVE TOKYO 2010を終えて」

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■BLT2010について
森村|最終プレゼンテーションではどのような提案をされましたか。

綱川|パワーポイントでなくてVBEでヴァーチャルツアーをやりました。パワーポイントを使わないで全部VBEの中にプレゼンデータ入れ込んで実際にウォークスルーで見てもらう手法です。最初はチームの紹介、次に「ライブセッション」というテーマを紹介して、で実際建物の中を歩いて見ながらプレゼンが進みます。

今回の取り組みとしてニュージーランドのバーリトンアーキとランドスケープを設計したRIKと私たちと協力会社がいる前田建設工業の三か所で設計をしています。それをセコムさんとBIMサーバーを介してデータを共有していました。これは私たちが提唱している「BIM3.0」という考え方です。サーバーを使って、設計者あるいは施工者以外の第三者、発注者的な人たちがデータをシェア・閲覧できる仕組みです。今回セコムさんはいわゆるコンサルみたいな立場で入っていました。
私たちがデザイン、スケッチしたものに対してセコム側で分析解析し、問題無ければそのままで、悪ければもう一度プランニングを作り直す作業をしました。これを10人がいっせいにやっているので内容を48時間の中で多少デザインのディレクションをしなければいけませんでした。
実際にどんな解析をしていたかというと人の動き、動線とセキュリティです。部屋ごとの関連性からより近い方にあった方がいいだろうとか、セキュリティで離しておいた方がいいだろうとか、そのような解析をやりました。さらに一つの建物の中で部屋ごとの関連性をダイアグラム化し、それを動線で解析した評価を見てみて実際に変えたところもあるし、見切りでやったところもあります。その辺はかなり人間的な感じですね。

森村|チームが複数の主体にまたがっていますが、どのようにデザインをまとめていったのでしょうか。
綱川|割り切って勝手にみんなやっています。それでも全体を強く拘束するためにアーチ状のトンネルを設けて個性的なバラバラなデザインでも一つの施設になるようにしました。前提条件として、セコムさんの解析をすると配置や中のプラン含めて変更が入ることを事前に説明していました。先ほどディレクションと言いましたがあんまり口出しはしていないです、最初のルールだけ決めていました。

森村|意匠設計の人を外部から入れたのは初めてですか。

綱川|ランドスケープのコラボレーションはありましたが、設計に外部から人を入れたのは初めてでした。今回はアーキフューチャーのプレゼン冒頭でも言ったのですが、楽しめるBLTを目指していました。暴走も許容してそこに何が起きるのかを楽しみにしていたので他のチームのようにきっちりディレクションをしていこうとは考えていませんでしたね。そういう意味では成功していますね。

森村|全然知らない人とやるときにどう統合していくかが問題になると思いますが、これから実際にやられたような海外の人たちと連携することがどんどん出てくるのでしょうか。

綱川|そうですね。業界の中では以前より海外の力を活用する試みは行われていて、極端な例をいえば地球の裏側で我々が寝ている間に仕事してもらえるパートナーと24時間フルに物件を回すような構想もありました。でも現実にはうまくいかないようです。今回みたいにニュージーランドはあまり時差がないので逆にやりやすかったかもしれません。我々が寝ている間に向こうが疑問に思ったことは結局進みませんよね。もともと建設業界はドメスティックで国外と関連がないような業界と思われていますが、BIMをやっていると国外の方々と接する機会が増えたのは事実です。うちの会社もこれから海外に注力しようという話も出ていますね。いよいよゼネコンも国際化の気運はありますよね。

■発注者が使えるBIM
綱川|私たちが今目指しているのは「発注者が使えるBIM」です。事業企画の段階で使うBIM、建物が立った後のBIM。実際のリアルな建物と対になるBIMのヴァーチャルビルディングみたいなものがあって、それが維持管理やファシリティマネジメントで使えるしくみです。現在一般的な紙の竣工図の代わりに使うものです。竣工図は十年、二十年経つとボロボロになっていくので読みにくいものですが電子媒体ならば必要な情報にすぐにアクセスできる利点があります。

森村|データが建物に付与されるようになっていくと逆にデータから判断されて、「快適度が高いからこの建物はいい」というような本末転倒になってしまうところが出てくるとことがあると思います。それについてはどうお考えですか。

綱川|定量化する、数値化する点においては危惧していることはあります。例えば建築家が大事にしてきた領域をデジタル化し数値に置き換えることはいままで大事にしてきたものが壊れてしまう、別の指標が出てきて侵されてしまう、ということがあると思います。
 しかし一方では感性や芸術的な側面も実は数値化できてしまうと思っています。例えば「このデザインを見てどう思いますか?」と単純なアンケートをとるのと同時に脳波を図って調べるのも一つかもしれない。意外とそういうことによって一般の人がどういう建築が好きか嫌いかみたいなものもわかってしまうと思っています。今までは諸条件が異なる建物を一品ずつ評価することしかできないですが、これからは3Dメガネなどで簡単にヴァーチャルリアリティに没入できるので同一条件化での視覚的な比較が出来てそれらを数値化できると思っています。今まで曖昧になっていた建築という領域がそれで変わっていくのではないかと思っています。他のマスプロダクト作っている業界だったら当たり前で、使い心地とかそういったレベルの感性品質の話はありますよね。デザインがいいものが必ずしも使い心地が良いわけでもない。中に入ってみて実際に人間が心地よいと思うものは何なのか定量的にわからないですよね。光が入れば気持ちがいいのか、風が入れば気持ちいいのか、そういう曖昧なものがもう少しデータで分かってくればVRの技術もすごいことになる。

森村|その時にどういったものを最初に作るのかのウェイトが上がってきますね。

綱川|そうでしょうね。でもそこが建築家の仕事でしょうね。今までは勘でやっていて、あるいはそれぞれの建築家のスタイルというか個性ということで片付けてしまっていたものがもう少し具体になっていくといいですね。
そのあたりに今まではリスクがあったので、発注者のメリットは大きいと思います。発注者側が意見しやすくなるというか、気持ちを入れやすくなるみたいな、そういうBIMであってほしいなと僕は思っています。

森村|実務レベルでは部材など特殊なオブジェクトを作っていかないといけないと思いますが、BIMがもっと普及していくのに業界全体でデータを作っていく動きが必要なのでしょうか。

綱川|それはずっと言っています。ちょっとずつ形になっています。メーカーさんがBIMのためにオブジェクトを用意しようという流れになっています。あと数年すればきっと充実してくるので、今足りないものは用意するしかないと思っています。それが逆にできないと「BIMって使いにくいよね」と言われてしまうことはわかります。

■これから
森村|BIMによってゼネコンの仕事に変化はありますか。

綱川|今ゼネコンが苦労しているのは設備の入力です。もともとゼネコンの設備設計は実寸でものを考える仕事ではなくシステムを構築するところまでがほとんどで、それらは実際には現場でサブコンがやっていました。従来サブコンがやる仕事を我々ゼネコンがやるという事態がBIMによって起こっています。

極端な言い方をすれば、責任範囲の話で言うと最終的に元請であるゼネコンは全部やらなければいけなくなる。最終的に建物を引き渡さなくちゃいけないゴールがあるわけだから多少その辺は越境してでもやるしかないという話が生まれています。構造の仕事も従来は構造計算して確認申請を通すことが一番大きな仕事です。正直言って詳細なディティールは二の次だった。鉄骨の細かいディテールまで設計で意識するようになったのはBIMを始めたからです。さらに施工まで結局やるという前提で物事を考えていくことになります。どうやって施工しようかと考える段階では、設計事務所ならば守備範囲外で後はゼネコンが考えればいいという話になるかもしれない。しかしBIMを行う際には意匠設計の人間であっても従来の範疇で収まらなくなっていろいろなことを考えることになります。例えば電気設備設計の人も今までは照度だけを考えておけばよかったところが3次元空間の明るさ感といった全体のデザインまで気を使わなければいけなかったり仕事の境界が曖昧に混ざってきた。意匠設計、構造設計、設備設計という縦割りだったものが、BIMを使うと仕事やっていく中でそういう組織じゃなくなっていく。さすがに新規の採用の際は意匠設計、構造設計、設備設計という取り方をしていますが、基本的にはBIM推進グループの中では横断的な仕事の仕方が定着してきました。
 もともと意匠の人間は全部わかってないとだめだと昔から言われていますし、組織の中で全体をマネジメントできるのは意匠設計じゃないといけないと思われてきました。割とその辺が今崩れてきていて物件によっては設備のウェイトが大きければ設備の人間がプロジェクトのリーダーを担当したりと少し変わってきています。海外の事例なんか見てると、意匠、構造、設備がもっと連携しないといけないなと思います。チームとして設計を行う意識です。BIMはそのためのツールでもあります。
 また客観的な過去のデータだけではなく、いろんな人の生の意見を入れていって、建築家や施主の鶴のひと声でもなく、いろんな立場の複数の人の声が反映されていくような仕組みができると思います。最近はワークショップで物事を決めていく市民参加型の建物も増えてきましたが、かなり手間と時間がかかる手段です。今後はBIMを使用して多くの人間がイメージを共有しながら設計を進めることが容易になるはずです。

森村 今日はありがとうございました。

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