ICCにて「アノニマス・ライフ」展が開催


やなぎみわ《案内嬢の部屋3F》1998年

 匿名の,名前のわからない,個性のないもの.アノニマス(anonymous)とは,そのような意味を持っています.ギリシア語の接頭辞an-(~なしの)にonyma(名前)が組み合わされて,「名前がない」を意味しますが,展覧会の作品はそれぞれに題名がつけられていて,名前がないわけではありません.では,「名前がない」とは一体どういうことを意味するのでしょうか.
 例えば,ロボット工学の一部では,テクノロジーの発達に後押しされ,「機械の生命」を作り出そうとしています.しかし,その成果物の多くは,私たちがSFなどに夢見る理想的なアンドロイドからすれば完全なものとは言えず,それはアンドロイドと呼ばれるひとつ手前の存在,名づけえぬ何ものかなのです.また,遺伝子操作に代表されるバイオ・テクノロジーやクローン技術などの生殖医療技術の急速な発達は,私たちがその本質を理解するよりも早く,名づけることのできない,もうひとつの「生」のあり方を現実のものとしてきました.
 この展覧会では,そのような名づけることのできない生命,本当の名を明かしていないものたち,「アノニマス・ライフ」ということばを手がかりに,機械と人間を分かつ自明であったはずの「生」の意味を問い直すとともに,テクノロジーの進歩が新たな光を当てたセクシュアリティやアイデンティティの問題をはじめ,私たちの社会の中に遍在する多様なゆらぎ,境界,そしてその侵犯をめぐる作品を紹介します.

□出展作家
オルラン/齋藤達也+石黒浩/スプツニ子!/高嶺格/毛利悠子/やなぎみわ/渡辺豪

□展覧会概要
会期:2012年11月17日(土)—2013年3月3日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日),年末年始(12/28—1/4),保守点検日(2/10)
入場料:一般・大学生500円(400円)/高校生以下無料 
※( )内は15名様以上の団体料金
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
住所:〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
   京王新線初台駅東口から徒歩2分
お問い合わせ:フリーダイヤル 0120-144199
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/

□関連イヴェント
(1) パフォーマンス 「模像と鏡像 ― 美容師篇」
作・演出:齋藤達也
出演:リプリーQ2(アンドロイド),小林慎(美容師)
日時:2012年12月15日(土)午後3時より
協力:石黒浩(大阪大学大学院教授)
技術協力:小川浩平(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻特任助教)
会場:ICC 4階 特設会場

(2)「アーティスト・トーク 齋藤達也×石黒浩」
出演:齋藤達也,石黒浩(大阪大学大学院教授,ロボット工学)
日時:2013年1月19日(土)午後3時より
会場:ICC 4階 特設会場
定員:70名(当日先着順)
入場無料(*展示をご覧になる場合は,別途展覧会チケットが必要です)

(3) ギャラリーツアー
日時:2012年11月23日(金・祝),2013年1月13日(日) 各日とも午後3時より
定員:各回15名(事前予約不要・当日午後3時にICCギャラリーA前集合)
担当学芸員が,展覧会の内容や各作品について解説します.
*展覧会チケットが必要です.